80年前の文集

[スタッフブログ] [古里店]

 先日、曾祖母の家からとある冊子が出てきました。それは亡くなった曽祖父にあてた、同僚の方や教え子さんたちからの文集でした。約80年前の当時、戦時中だった日本では腸チフスが流行しており、曽祖父も若くしてこの腸チフスに感染しこの世を去りました。思い返せばこれまで、曽祖父について耳にすることはほとんどありませんでした。しかしこの文集を通じて、当時の世界情勢や曽祖父の人となりが見えてきました。ひょうきんで人を笑わせるのが大好き。その一方で曽祖父は教え子たちを非常に大切に思う教師で、生徒たちから慕われる教師だったようです。
 現代の日本でも未だ治療法の確立されていない新型コロナウイルスが流行っていますが、当時も腸チフスの治療法はなく、戦時中の劣悪な衛生環境で感染が拡がっていきました。曽祖父は腸チフスに感染した生徒のことをひどく気に病み、(現代では考えられないことですが)生徒のお見舞いに毎日行ったようです。当然同僚からも、そんなことをしていては先生も危ないと心配されたそうですが、曽祖父は「自分の教え子が病気で苦しんでいるのに、どうして自分のことなど考えていられようか。ただ児童たちがかわいそうで仕方がない。もし自分がこれで感染して死ぬようなことがあっても、それは本望だ」と話し、自身が感染して入院してもなお生徒たちのことを気にしていたようです。私の生まれるずっと前に、自分の曽祖父がそんな想像を超えるような人生を全うしていたと知り、心が動かされました。
 写真でしか見たことがない曽祖父ですが、ふと見つかった文集を通して人生を垣間見ることが出来ました。改めて自分の仕事や働くということについて見つめなおす良いきっかけになった気がします。

薬剤師 新津