みちのくの旅

[スタッフブログ] [豊里店]

遠野に行きました。
漠然と、遠野物語が生まれた土地を見てみたいと思ったのです。正直、遠野物語は名前を知っているだけで読んだことはありませんでした。「おしら様」という神様が登場するそうです。ジブリに登場する大根的な神様が思い浮かびます。そんなゆるゆるの知識のまま、何かに招かれるように遠野の地へ赴きました。

駅を出ると、水遊びをするカッパを3匹見つけます。銅像です。寿司屋のカッパより痩身で手足もシュッとしています。妖怪味が強い。遠野ではカッパが有名で、家畜を水辺に引き込んだり、娘と恋をしたりとあちこちでその姿を見せていたようです。観光会館ではカッパにまつわる土産物も売られていて、一番人気は「カッパ捕獲許可証」。カッパって捕獲していいんだ......。駅前には目撃情報を求めるチラシも貼られています。捕獲許可証を持った観光客がうろついていては、カッパも警戒しているのでしょう。この50年ほどカッパは現れていないようです。きゅうりを餌にした釣り竿でつられるほど奴らは甘くない。

徒歩10分ほど歩けば、「とおの物語の館」があります。遠野の民話など、日本の昔話や文化に触れて楽しむことができる複合施設です。語り部による遠野物語の語りもやっていて、ついに「おしら様」を聞くことができました。めでたしめでたしで終わらないことが多い遠野物語ですが、東北の山間で暮らす人々の暮らしや冬の過酷さが端々から伝わってきます。馬と娘の悲しい恋の物語に心を傷め......おかしい。大根が一向に登場しません。遠野物語のおしら様が布を重ねた娘と馬の人形であるならば、私の記憶にある、湯屋を訪れた大根的印象の神様は一体どこから来た何者なのでしょうか。ご存知の方がいらっしゃいましたら、そっと教えてください。

日本の永遠のふるさとを掲げる遠野市。
初めてなのにどこか懐かしい、みちのくの旅でした。

薬剤師 関